登場前の噂段階から廉価版iPhoneなどと呼ばれていましたが、果たして実際の所はどうなのでしょうか?
iPhone XRについての本当のところ、そして今後のAppleの狙いについて解説します。
新型iPhone「iPhone XR」の6つの特徴
では、iPhone XRの主な特徴を見ていきましょう。
カラーバリエーションは全6色
基本性能はiPhoneXS/XS Maxと同一ながら、いくつかの変更点を設けることで、兄弟機種よりも安価な価格設定を可能にしています。
そんなiPhone XRの特徴の1つが、カラーバリエーション。
ホワイト・ブラック・ブルー・イエロー・コーラル・(PRODUCT)REDの6色から選べるので、自分の好みの色を選べる楽しさがあります。
今までのように「好みのカラーが見つからない」なんて悩みから解放されるのは良いですよね。
発売当初から(PRODUCT)REDモデルあり
また、従来のiPhoneと異なり最初から(PRODUCT)REDモデルが用意されているので、「本当は今すぐ欲しいけど、(PRODUCT)REDが出るであろう春まで我慢する……」なんて必要もありません。
そして、iPhoneの世界に久しぶりに「ホワイト」モデルが帰ってきたことも、注目すべきポイントです。
iPhoneで最後にホワイトモデルが用意されたのは、2013年のiPhone5cを除くと、2011年のiPhone4s以来7年ぶりの出来事。
あのホワイトが好きだったという方にとっても、今回のiPhone XRは注目機種と言えるでしょう。
容量は64GB/128BG/256GBの3種類
Androidスマートフォンと異なり、iPhoneはSDカードでストレージ容量を増やせないので、ここでケチると後々苦労することになります。
iPhone XRのストレージ容量は、下記の計3種類。
- 64GB
- 128BG
- 256GB
iPhone XS Maxのように512GBは用意されていませんが、動画をバカスカ日々撮影するような方でない限り、普段遣いならこのくらいあれば十分でしょう。
「64GBじゃ足りないけれど、256GBは大きすぎるor本体価格が高すぎる」という方は、128GBを選ぶ事ができるiPhone XRは良い選択肢だと思います。
ディスプレイ解像度はiPhoneXS/XS Maxより低め
兄弟機種のXS/XS MaxはOLED(有機EL)ディスプレイを搭載している為、技術の新しさという意味ではやや話題性に劣ることは事実。
また、画面解像度でもXS及びXS Maxの458ppiに対しXRは326ppiなので、スペックシート上の性能差は確実に存在します。
店頭でXS/XS Maxと見比べても、大きな差は感じられず
ただ、この326ppiは昨年発売のiPhone8相当の解像度となる為、iPhone XRのディスプレイ性能そのものは、決して低くはありません。
店頭で両者を見比べても大きな差は感じられないので、両者の解像度の見分けが付く方でもない限り、解像度の面では数字ほどの差は感じないと考えて良いでしょう。
ディスプレイ端の部分がやや幅広
iPhoneX以降のiPhoneでは、ディスプレイの端と端末本体の端の部分(いわゆる額縁・ベゼル)を極力小さくした「狭額縁(ベゼルレス)設計」が採用されています。
この流れは当然iPhone XRにも受け継がれているのですが、X/XS/XS Maxと比較して、iPhone XRのベゼルは少々太め。
これはOLEDが自由に曲げられる構造なのに対し、液晶はそれができない為で、要は仕様上やむを得ない部分ということですね。
実際、iPhoneXでは本体端の部分でOLEDが内部に向かって折り曲げられており、これにより本体の本当にギリギリの部分までディスプレイにすることが可能となっています。恐らくですが、後継機のXSやXS Maxも同様でしょう。
もちろん、iPhone XRのベゼルも液晶ディスプレイ採用機種としては頑張っていると思うのですが、ショップで実機を見た感覚では、XS系の機種と比べて太く感じてしまうことも事実。
この辺りが来年以降の後継機種でどうなるかも、注目したいところです。
カメラは明るく撮影しやすいがポートレートモードは制限あり
iPhone XRのカメラは、iPhone8以来のシングルレンズカメラとなっています。
XS/XS Maxや昨年のX/8Plusのようにレンズを切り替えて光学式ズームを使う事は出来ませんが、ポートレートモードについては利用可能。
従来、ポートレートモードはデュアルカメラを搭載したiPhone限定だったので、その点は驚きを持って迎えられました。
- 従来:背面カメラが2つないと、ポートレート撮影できなかった。
- iPhone XR :背面カメラは1つのカメラしかないが、ポートレート撮影可能。
従来と異なる仕組みのポートレートモード採用
iPhone XRのポートレートモードは、機械学習を使って被写体と背景のデータを分けて処理するというもので、従来のiPhoneが使っていたポートレートモードとは仕組みが異なります。
ちなみに、iPhone XRのようにソフトウェア処理でポートレート撮影を行う手法はAndroidスマートフォンで以前から採用されており、最近ではGoogleのPixel3がAIを使ってシングルカメラでポートレート撮影する機能を搭載しています。
その点で、iPhone XRはデュアルカメラのiPhoneよりも新しい技術に挑戦している訳ですね。
iPhone XRのカメラの弱点
ただし、現時点では弱点がないわけでもありません。その弱点とは、iPhone XRは被写体に人間以外を選べないこと。
XRでポートレートモードを起動すると、機械学習を使い撮影領域に人間が写っているか自動でチェックします。その際、人間を認識出来ないと、その旨のアナウンスが表示され、通常の写真として撮影されてしまうのです。
iPhone XRのポートレートモード | iPhone X, XS, XS Maxのポートレートモード | |
---|---|---|
被写体 | 人間のみ | 人間以外もOK |
距離 | 2.5m以内に被写体を収める必要性なし | 2.5m以内に被写体を収める必要性あり |
ズーム | 最大5倍のデジタルズーム | 2倍の光学ズーム 最大10倍のデジタルズーム |
デュアルカメラのiPhoneは人間以外の被写体も選べることを考えると、この点は使い方次第で大きなハンデになることは否定できません。iPhone X、iPhone XS、iPhone XS Maxのように人間以外もポートレートモードで撮影したい場合は、下記のようなカメラアプリを使う必要があります。*1
一方、デュアルカメラのiPhoneにあるような「2.5m以内に被写体を収める必要性」はないので、撮影箇所の制限が少ないのは嬉しいところ。
人物撮影以外でポートレートモードは使わない、光学ズームは不要という方なら、iPhone XRのカメラ性能は十分過ぎると言えるでしょう。
iPhone XRは手頃な価格
iPhoneを買う際に、機能やデザイン以外に重要視している基準として「価格」が挙げられます。
今年発売された新型iPhoneは3モデルあり、その中でiPhone XRは最も手軽に手が出せる価格と言って良いでしょう。
モデル名 | 本体価格(税別) |
---|---|
iPhone XR(64GB) | ¥84,800 |
iPhoneXS(64GB) | ¥112,800 |
iPhoneXS Max(64GB) | ¥124,800 |
では、昨年モデルであるiPhoneXやTouch IDが魅力的なiPhone8などと比較すると、どの程度の価格差があるのでしょうか。
Apple公式サイトで販売されている2017年以前モデル(2018年12月21日現在、iPhone 8 Plus /iPhone 8/iPhone7Plus/|iPhone7)とiPhone XRの本体価格を比較してみましょう。(各モデルの最低容量で比較しています。)
モデル名 | 本体価格(税別) | 発売年 |
---|---|---|
iPhone XR(64GB) | ¥84,800 | 2018年 |
iPhone 8 Plus(64GB) | ¥78,800 | 2017年 |
iPhone 8(64GB) | ¥67,800 | 2017年 |
iPhone7Plus(32GB) | ¥64,800 | 2016年 |
iPhone7(32GB) | ¥50,800 | 2016年 |
いかがでしょうか。最新の機能を持つiPhoneを手頃に欲しいなら、iPhone XR。「そこそこ最新+Touch ID」に魅力を感じるならiPhone8やiPhone8Plus。Apple公式サイトの中で、最安値のiPhoneが欲しいならiPhone7。こんなイメージでしょうか。
ただし、上記の値段はあくまでApple公式のもの。ソフトバンク、au、ドコモなどで販売されている過去モデルの場合、割引が効いてお得な場合があります。
上記のサイトでも、最新iPhoneと過去発売されたiPhoneの価格比較ができるので、購入予定の携帯会社で携帯料金を確認してみてくださいね。
AppleはiPhone XRで何を目指しているのか?
昨年、AppleはiPhoneXで「大型(スマートフォンサイズ)のOLEDディスプレイ」・「FaceID認証」・「広角・望遠レンズ双方への光学手ぶれ補正搭載」・「ホームボタン廃止による新たなUIの提案」といった試みを行いました。
その一方で、iPhone8/8Plusという従来型iPhoneの発展系となる機種も用意し、ユーザーが好きな方を選べるよう配慮しています。
実験機としてのiPhone XR
今年の場合も同様で、iPhone XRでは「ソフトウェア処理によるシングルカメラ用ポートレートモード」・「液晶ディスプレイを使ったFaceID搭載ハードウェア」といった実験を行っていると考えれば、XSやXS Maxと比べて少々違和感を感じる設計も納得がいきます。
特にポートレートモードに関しては、今後さらに発展して人間以外も非被写体として選べるようになれば、再びiPhoneをシングルカメラに統一しコストダウンや軽量化に挑むことも可能です。
あるいは、望遠レンズを廃して空いたスペースを活用し、カメラのセンサーサイズを大型化、暗所撮影性能を向上させるという道も開けます。
iPhone XRは決して廉価版iPhoneなどではなく、今後のiPhoneの進化を占う大事な実験機なのです。
iPhone XRに関するQ&A
では、ここからは豆知識として知っておきたい「iPhone XRに関するQ&A」をお届けします。
iPhone XRの読み方は?
iPhone XRの読み方は「アイフォーン テンアール」です。決して「iPhone エックスアール」ではないのですが、一部の方々は愛情を込めて?「エックスアール」と呼んでいる人もいるとかいないとか。
iPhone XRは2017年に発売されたiPhone X(アイフォーン テン)の後継機なので、「iPhone X+R=iPhone XR」であることは間違いなさそう。しかし、肝心の「R」がどのような意味を持つのかは、Appleから発表されていません。
色々と調べてみたのですが、ギズモード・ジャパンさんの説が個人的には濃厚なんじゃないかなと思います。
6色のカラバリ展開であることや、初代Appleロゴであるレインボー林檎が6色だったことを思うと、Rainbowがしっくり来ますね。
iPhone XRの「R」ってなんの略だと思いますか? #AppleEvent | ギズモード・ジャパン
「iPhone XR= アイフォーン テン レインボー」。ポップな響きで、カジュアルな6色展開のiPhone XRにはぴったりかもしれません。
iPhone XRの取扱説明書はある?
しかし、iPhoneは過去モデルと最新モデルの操作方法に共通点が多いため、「iPhone ユーザガイド」が実質的に「iPhone XRの取扱説明書」として役に立ってくれます。
このiPhone ユーザガイドは、アップルが提供する電子書籍アプリ「iBook」でも取得可能です。iPhoneを実際に操作しながら、分からないことが出てきたら「iBook」で確認するというのが便利な使い方かと思います。
ただし、全700ページを超える大作なので、一気に全部読もうとすると心が折れます。注意してください。
iPhone購入時には簡単なメモのような取扱説明書が付いてくるのですが、本当に簡易的なものなので、具体的な操作方法を知りたい方は上記の取扱説明書を読んだ方がいいでしょう。
ストレージ容量の選び方は?
ストレージ容量については、特徴のところでも少し触れたのですが、今回は実際にどんな手順で選ぶと良いか考えてみましょう。
ストレージ容量は、写真や動画などのデータを貯めておく箱のような存在です。Androidスマホの場合、この箱をSDカードを差し込むことで増やすことができますが、iPhoneはSDカードを挿して箱を増やすような仕組みはありません。
そのため、大きな箱(ストレージ容量)を持つiPhoneを購入すべきか、小さな箱を持つiPhoneを購入すべきか、購入前に真剣に考えなくてはいけません。
STEP1:予算と本体価格で考える
では、どんな判断基準でストレージ容量を選べばいいのでしょうか。まず考えるべきは、予算と本体価格のバランスでしょう。どんな場合も、ない袖は振れません。Apple公式サイトで確認すると、iPhone XRのストレージ容量と価格は下記の通り。
iPhone XR容量 | 本体価格(税別) |
---|---|
64GB | 84,800円 |
128GB | 90,800円 |
256GB | 101,800円 |
まずは自分のお財布と相談して、予算的にどの容量を購入できるか確認しましょう。それができたら、STEP2へ移ります。
STEP2:自分が使っている容量を調べる
私がオススメしているのは、今現在使っているスマートフォンに入っているデータの種類と大きさを確認し、そこから今後必要になるであろうストレージ容量を予測する方法です。
今iPhone(iOS12)を使っているのであれば、[設定]→[一般]→[情報]の中の「容量」と「使用可能」という項目を見ることで確認が可能です。自分が何にストレージ容量を使っているのか見てみましょう。
私のiPhone8Plusを例にすると、iPhone8Plusの256GBモデルを使っています。256GBのうち、153.36GB分使えるストレージ容量が余っています。つまり、現在私が使っているストレージ容量は…
- 256GB−153.36GB=102.64GB(=現在使用中のストレージ容量)
となり、次に買うiPhoneの64GBモデルを買ってしまうと、最初から容量が足りなくて困ってしまうということを意味しています。
もちろん、中に入っている写真をHDDやパソコンなどの外部ストレージに移せば、64GBモデルを購入してもOKですが、外部ストレージに移すのが手間だと考える場合、102GB以上のモデルを購入する必要があります。
同じように、あなたのiPhoneやアンドロイドスマホで、どのくらいのデータ容量を現在使っているか、チェックしてから新型iPhoneを購入してくださいね。
まとめ:購入のタイミングを考えよう。
今回は「iPhone XR発売〜今年の本命と噂の新機種は実際どうなの?」と題して、iPhone XR実機の情報を基に、使い勝手やAppleの戦略について解説してみました。
正直なところ、今回買い換えのタイミングでなければ、無理をして買うような機種ではないというのが私の感想です。
iPhone XRは今年初めて登場した機種なので、あえて今回はスルーして来年出るかもしれない後継機を狙うというのが、賢い選択ではないでしょうか?
以上「2018年新型iPhone「iPhone XR」は買うべき?選ぶ際に必要なカラー・大きさ・容量など、気になる情報をまとめました。」でした。
*1:2018年12月21日確認したところ、『Halide 1.11 is a special update for iPhone XR. Now you you can apply portrait mode to pets and other objects! (Halide 1.11はiPhone XRの特別なアップデートです。今あなたはペットや他のオブジェクトにポートレートモードを適用することができます!)』と記載されており、iPhone XRのデメリット補完してくれているのが分かります。