iPhone版おサイフケータイとも言われる「Apple Pay(アップルペイ)」。
最近は政府がキャッシュレス決済を推進し、Apple Payの知名度も少しずつ上がってきました。しかし、iPhoneユーザーの中にはApple Payはまだまだ馴染みが薄いという方も多いようです。
そこで今回は、iPhoneユーザーがお手軽に使える電子決済機能「Apple Pay」について、基礎から解説したいと思います。
- Apple Payの基礎知識:
- Apple Payに対応しているのはどのiPhone?
- Apple Payに登録可能なカードについて
- Suica以外の電子マネー対応状況
- 大手キャリア系プリペイドカードも利用可能
- 1台の端末に何枚のカードを登録できるの?
- Suicaのチャージはどうやるの?
- Apple Pay は手放せなくなるほど便利。
Apple Payの基礎知識:
Apple Payとは?
Apple PayはAppleが提供している電子決済サービスで、対応したデバイスにSuica、クレジットカード、電子マネーを登録することにより、いわゆるおサイフケータイのように利用できるというものです。
(この手の電子決済では、PayPayや楽天ペイのようなバーコード読み取り型がここ最近話題ですが、Apple Payはこれとは異なります。)
Apple Payは専用のカードリーダーにタッチして決済するNFCというシステムが使われており、いちいちバーコードを表示・読み取りする手間が省けるのが、Apple Pay 最大のメリットと言えるでしょう。
Apple Payを使って何ができるのか?
では、Apple Payを使うと、どのように生活が変化するのでしょうか。
Apple Payを使い始めて2年ほどですが、その中で最も変化したことと言えば、お財布をカバンから出す機会が大幅に減ったという点です。
例えば、バスや電車に乗る際には、iPhone1台を改札にかざすだけで通過することが出来ます。
- 現金払い:財布から現金を取り出し、切符を買い、その切符が通る改札を探し、切符を入れて通過。
- Apple Pay:Suicaを登録しているiPhoneを改札の「IC」と記載されているところに当てるだけで、改札を通過。
ショッピングでも大きな変化があります。
例えば、マクドナルドやマツモトキヨシ、コンビニなどの店舗での支払いでもApple Payを使って、現金をお財布から出すことなく支払うことが出来ます。
さらに、実店舗だけでなく、ユニクロのオンラインショップや、minineのアプリ内でもApple Payで支払えるので、今までよりずっと買い物が簡単で便利になります。
- 現金で買い物:支払金額を確認し、財布から現金を取り出し、支払い、お釣りをもらい、財布にしまう。
- Apple Pay:支払金額を確認し、iPhone の上部をリーダー(決済端末)にかざすだけ。
また、「うっかり現金をおろし忘れた!」なんて時でも、Apple Payがあれば大丈夫。デートや友人と遊びに行った際に借金を作らずとも、会計時に支払うことが出来ますよ。
Apple Payに対応しているのはどのiPhone?
Apple Payフル対応はiPhone7以降
フル機能のApple Payに対応したiPhone
- iPhone7/7Plus
- iPhone8/8Plus
- iPhoneX
- iPhoneXS/XS Max
- iPhoneXR
iPhoneでは、iPhone7/7Plus以降のフラグシップ機は全て対応しています。
実はこれ以外の機種も全くの非対応という訳ではないのですが、日本国内では店頭での決済などが出来ない制限がある為、実質的に非対応と考えて差し支えありません。
では、非対応のiPhoneではApple Payは諦めるしかないのかというと、実はそうでもないのです。
Apple WatchはSeries2以降の機種が対応
フル機能のApple Payに対応したApple Watch
- Apple Watch Series2
- Apple Watch Series3
- Apple Watch Series4
Apple Watchでは、第1世代(初代モデル)とSeries1を除いた全機種がフル機能のApple Payに対応しています。
そして、Apple Watch最大のメリットは、ペアリングするiPhone側が古い機種であっても、フル機能のApple Payを利用できる点。
例えば、iPhone6sは単体ではフル機能のApple Payを使えませんが、Series2以降のApple Watchと組み合わせれば、Apple Watch側でApple Payを利用することが可能です。
「6sやSEを使っているけど、まだ買い換えたくない…」という方は、Apple Watchを買い足してみてはいかがでしょうか?
Apple Payに登録可能なカードについて
クレジットカードを登録できる基準
Apple Payの基本的な使い方は、クレジットカードを登録して使う方法です。
登録は非常に簡単で、iPhoneのWalletアプリから登録したいクレジットカードを撮影し、必要事項を入力するだけ。
登録したクレジットカードには、iDまたはQuickPayの加盟店で利用可能(カード毎にどちらか一方に対応する形になります)。
ただ、現状多くのチェーン店はiDとQuickPayの双方に対応しているので、この辺りはあまり気にすることはないでしょう。
基準1:クレジットカード会社
なお、Apple Payに登録できるかどうかは、実はクレジットカード会社ごとに異なります。
カード会社側がApple Payに対応を表明していない場合、登録できない事もあるので注意が必要です。
基準2:国際ブランド
また、複数の国際ブランド(JCB、VISA、MasterCardなど)のカードを発行している会社の場合、カード付随の国際ブランドによって登録の可否が分かれることがあります。
例えば、「りんごあつめクレジットカード」という名称のクレジットカードがあるとします。
あなたが「りんごあつめクレジットカード」を新規で作る際に、国際ブランドをJCBにした場合はApple Payに「りんごあつめクレジットカード」登録することができます。
しかし、国際ブランドを「VISA」にした「りんごあつめクレジットカード」はApple Payに登録できない…ということがあるんです。
分からない場合は、カード会社に連絡が吉
一応、Appleも公式HPでApple Pay対応のクレジットカードをリスト化してくれていますが、これからカードを新規で発行される方は、事前にカード会社に対応可否を問い合わせるとより安心です。
既にカードを持っているという方は、Walletアプリに登録出来るかどうか試してしまう方が手っ取り早いでしょう。
デビットカードは使える?
クレジットカードと並んで、意外と需要が大きいのがデビットカード。日本と世界で扱いが異なるので、注意が必要です。
デビットカードは買い物をした時点ですぐにその金額が所定の銀行口座から引き落とされるタイプのカードで、銀行口座の残高以上の買い物は出来ないので、使いすぎる心配がないのが最大のメリットと言えます。
そんなデビットカードは、Apple Payに登録できるのでしょうか?
デビットカードは登録不可
結論から言うと、日本のApple Payではデビットカードの登録はできないようになっています。(記事執筆時点)
その理由についてAppleは明言していませんが、まずは普及度の高いクレジットカードへの対応を優先したものと思われます。
今後、日本での対応が行われるかは未知数ですが、本国アメリカのApple Payはデビットカードにも対応しているので、日本でも対応する可能性はゼロではないでしょう。
Suicaアプリにはデビットカード登録可
Apple Payに直接デビットカードを登録することは現状できませんが、Suicaアプリにはデビットカードを登録することが出来ます。
これを応用して、SuicaアプリのデビットカードからApple PayのSuicaへチャージすることで、間接的にデビットカードをiPhoneやApple Watchで使う事が可能です。
ただし、この方法は非常に回りくどいですし、iDやQuickPayのみ対応の店舗では買い物が出来ないので、どうしてもデビットカードを使いたいという方以外はお勧め出来ません。
Suica以外の電子マネー対応状況
Suica以外の主要電子マネーは非対応
Apple Payでは電子マネーにも対応していますが、現状日本ではSuicaのみ対応となっています。
nanacoやWAON、Edyといったメジャーな電子マネーサービスは軒並み非対応。
ガラケーやAndroidスマートフォンではEdyなどにも対応していますが、iPhone・Apple Watchは異なるので、Androidスマートフォンやガラケーから乗り換えを検討されている方は要注意です。
Suica以外の電子マネーを使いたいという方は、従来通り物理カードを併用するようにしましょう。
PASMOやICOCAは使える?
東日本に住んでいると交通系ICカードと言えばSuicaを真っ先に思い浮かべますが、全国にはSuica以外にも多くの交通系ICカードがあります。
首都圏の私鉄が対応しているPASMO、JR東海のTOICA、福岡市地下鉄のはやかけんなど、みなさんの中にもSuica以外の交通系ICカードを使っている方は多いのではないでしょうか?
最近では、一部のカードを除き相互利用も可能となっているので、一見するとPASMOやICOCAといった他の交通系ICカードもApple Payに登録できるように思えます。
しかし、残念ながら現状ではSuica以外非対応。こればかりは、諦めるほかありません。
ただし、Suicaのエリア外であってもApple Pay版Suicaの発行自体は可能なので、定期券用途以外は特に不自由なく使う事ができます。
私の友人の1人は交通系ICカードが使えない地域に住んでいるのですが、コンビニやスーパーで買い物するときに便利だからと、わざわざiPhoneにSuicaを登録して使っています。
このように、Suicaのエリア外であっても全く使えないという訳ではないので、その点は安心してくださいね。
大手キャリア系プリペイドカードも利用可能
日本のApple Payに登録できるのは、原則としてSuicaまたはクレジットカードです。
ただ、デビットカード非対応の状況を補うためか、一部のプリペイドカードはApple Payに対応を行っています。
それが、以下の3つ。
Apple Payで使えるプリペイドカード
- dカードプリペイド
- auWalletプリペイドカード
- ソフトバンクカード(プリペイド)
見ての通り、いずれも日本の大手キャリア系のプリペイドカードです。
プリペイドカードへのチャージは専用のアプリなどを通して行いますが、当然チャージした金額以上は使えないので、その点は安心して使う事が出来ます。
「クレジットカードは使いすぎが心配」という方や、「子供に現金ではなくカードを持たせたい」といった用途を考えている方には、特にオススメといえるでしょう。
1台の端末に何枚のカードを登録できるの?
1つのデバイスでいくつものカードを管理できるのが、Apple Payの魅力。とはいえ、登録できる枚数には上限があります。
Apple Payに登録できるカード枚数
12枚まで登録可能な機種
- iPhone8/8Plus/X以降のiPhone
- Series3以降のApple Watch
8枚まで登録可能な機種
- iPhone7/7Plus
- Apple Watch Series2
12枚分の枠を使い切るかどうかは使い方によると思いますが、プライベートとビジネス利用を1つのデバイスで兼ねている場合は、案外埋まってしまうものなのかもしれません。
ちなみに、Suicaも1つのデバイスに複数枚登録することが可能です。
これを利用すれば仕事用とプライベート用のSuicaを分けることが出来るので、交通費の精算も楽になりますよ。
ただし、指紋や顔認証なしで使える「エクスプレスカード」に登録できるSuicaは1枚だけなので、用途別に登録する際は切り替え忘れに注意しましょう。
Suicaのチャージはどうやるの?
コンビニやスーパーでチャージ
Suicaのチャージに対応しているレジであれば、プラスチックのカードと同じ要領で現金チャージが可能です。
ただ、この方法は意外と手間が掛かるので、個人的にはあまりお勧め出来ません。
Walletアプリからチャージ
WalletアプリでSuicaを開きチャージのメニューを選ぶと、Walletアプリに登録されたクレジットカードからチャージする事が出来ます。
SuicaがiPhoneに登録されている場合は、所定の金額を選ぶか、1円単位で好きな金額を入力してチャージが可能。
Apple Watchの場合は、100円単位で金額を選んでチャージします。
注意点としては、第一にWalletアプリにクレジットカードが登録されていないと、チャージが出来ないこと。
さらに、クレジットカードが登録されていても、それがSuicaへのチャージに非対応だとチャージが出来ません。
この弱点については、次の項で解決方法をご紹介しているので、詳しくはそちらをどうぞ。
Suicaアプリからチャージ
Apple PayのSuicaを使うには、JR東日本が用意したSuicaアプリが必要です。
実はこのSuicaアプリにはチャージ機能が付いており、SuicaアプリまたはWalletアプリに登録されたクレジットカードから、iPhoneやApple WatchのSuicaへチャージすることが可能。
Suicaアプリ側に登録するクレジットカードはWalletアプリのそれと比べれば制限が緩いので、Wallet側でSuicaにチャージできないカードでも、Suicaアプリに登録すればチャージできる場合があります。
Apple Watchの場合、このSuicaアプリ経由だと所定の金額しかチャージ出来ませんが、最少で500円からチャージ出来るので、実際にはさほど不便はないかと。
現状では、このSuicaアプリ経由のチャージが一番楽ではないかと思います。
注意:Suicaのチャージはやや時間が掛かる
iPhoneにせよApple Watchにせよ、WalletやSuicaアプリからSuicaへチャージを行った場合、すぐには残高が反映されません。
その時の通信状態にもよりますが、iPhoneもApple Watchも(私の体感ですが)10〜数十秒程度待たされるのが基本です。
待ち時間の間はSuicaそのものが利用できなくなるので、鉄道やバスにしろ、コンビニ等の買い物にせよ、予め余裕をもった金額をチャージしておくのが安全。
特にApple WatchはiPhone以上に待ち時間が長い傾向にあるので、Suicaを使う場合は注意しましょう(ちなみに、私はこの待ち時間のせいで電車を1本見送ったことがあります)。
Apple Pay は手放せなくなるほど便利。
日本ではまだまだ完全キャッシュレスという訳にはいかないのが現状ですが、2020年のオリンピックに向けて、今急速に普及が進んでいます。
そう遠くない未来、日本でも現金を持ち歩くことが珍しくなる時代がやってくるのかもしれません。
無理にキャッシュレス化の波に乗る必要はありませんが、「あ!お財布忘れた!」という時に恥ずかしい思いをしなくて済むように、Apple Payで対策しておくのも手かもしれませんね。
以上「Apple Pay(アップルペイ)完全ガイド!iPhoneでキャッシュレス化生活を実現して、面倒なカード持ち歩きから脱出しよう。」でした。