毎年この時期になると話題になる単語が、WWDC。
「どうもAppleのイベントみたいだけど、一体何をやってるの?」
そんな風に思われる方も多いのではないでしょうか?
今回は、知っているようで意外と知らない、WWDCというイベントについて深掘りして解説していきたいと思います。
WWDC直前に知っておきたい基礎知識まとめ
WWDCって何の略?
WWDCとはWorldWide Developers Conferenceを略したもので、日本語では「世界開発者会議」というのが正式名称です。
名前だけを見ると様々な企業・団体に向けたオープンなイベントのように思えます。
しかし、実際にはAppleが主催し、出展者もApple社内の各部門や、Apple製品に関連したものを提供している外部の企業・団体に限られているクローズなイベントです。
ちなみに、日本語では”会議”と訳されていますが、議論をするというよりは、学びやコミュニケーションの場を提供する意味合いが強く、あとでご紹介するイベント内容もそれに沿ったものとなっています。
エンジニア向けの大規模な勉強会と考える方が、実態に近いのかもしれません。
WWDCの読み方は?
日本では「ダブリュー・ダブリュー・ディー・シー」と読む方も居ますが、米国では少し略し気味に「ダブ・ダブ・ディー・シー」に近い読み方をすることが多いようです。
また、日本でも既にWWDCという名称が定着している為、日本語訳の「世界開発者会議」という表現は、単独で使われるケースは少ないように感じます。
Appleやテック系の情報を扱うラジオやPodcast等では、MCによって呼び方が違ったりするので、聞き比べてみると面白いですよ。
WWDCはいつからやっているの?
Appleの数あるイベントの中でも、WWDCは比較的古参に位置する歴史の長いイベントです。
初めて開催されたのは1990年。ジョブズが事実上Appleを追放され、不在となっていた時期です。
その後も順調に回数を重ねていったWWDCは、6,000人もの人々が参加する一大イベントへと成長して今日に至ります。
WWDCはどこでやっているの?
Appleがイベントを行う会場としてまず思い浮かぶのは、Apple本社(Apple Park)内のスティーブ・ジョブズ・シアター。
この建物がオープンして以降、秋の新型iPhoneの発表は必ずここが使われています。
ただ、会場が固定されているのはそれくらいで、他の発表イベントは内容に合わせて適切な会場が選択されているのが実際の所です。
WWDCの場合、途中別会場で開催されていた時期もあるものの、基本的には米国カリフォルニア州サンノゼの「McEnery Convention Center」で行われています。
ちなみに、Apple Parkのあるクパチーノにも近く、距離にしておよそ12km強。時間に余裕があれば、イベントの前後にApple Parkへ行くことも出来そうです。
WWDCへの参加方法
基礎知識を得たところで、今度は参加してみたくなった時はどうすればいいのでしょうか。
WWDCは誰でも入れる開放型のイベントではない為、参加には条件を満たす必要があります。
過去の例や今年(2019年)のケースを元に、WWDCに参加する方法をご紹介しましょう。
一般的な参加方法
1.Appleにデベロッパー登録する
Appleでは各OSのアプリ開発者向けにデベロッパー登録の制度を用意しています。
この制度はApp Storeでのアプリ配信にも必須となる為、Apple製品向けにアプリ開発を行う方には特に身近な存在です。
先に述べた通り、WWDCはApple製品に関連するデベロッパーに向けたイベントなので、参加するにはまずデベロッパー登録をしなければならないのです。
2.有料の参加チケットを申し込む
安いが高いWWDCのチケット
WWDCはデベロッパー登録をするだけでは参加出来ません。次に必要となるのが、チケットの申し込み。当然有料です。気になる価格は今年(2019年)の場合で1,599ドル。日本円に直すと175,890円(1ドル=110円で計算)です。
金額だけだとイメージしづらいかもしれませんが、Macで言えば一部のMacBook ProやiMacが買えてしまうと考えると、なかなか凄い金額です。
ただ、実際に商売としてソフトウェア開発を行っている方にとっては、
- 最新のOSに関する情報をいち早く掴める
- 直接Appleのエンジニアに質問や相談できる
など、非常に大きなメリットがあるのは確か。
その為、Apple製品に力を入れている企業の中には、業務の一環として社員をWWDCに参加させるケースも珍しくありません。
百聞は一見にしかず。
WWDCがプラチナチケットになるのも、これなら納得ですね。
学生は無料になる場合もある
Appleは昔から教育関係に力を入れている企業の1つですが、WWDCに関しても例外ではありません。残念ながら全ての学生が無料という訳にはいきませんが、条件を満たした学生なら、Appleから補助を受けることが可能です。
ちなみに、2019年のケースでは以下のような補助が提供されていました。
- WWDC19の無料参加チケット
- WWDC19参加時の宿泊施設無料提供
- Apple Developer Program(有料)を1年間限定で無料化
3はともかく、1と2はかなり魅力的ですよね。
来年も行われる保証はありませんが、プログラミングを学んでいるorこれから学ぼうとしている学生さんは、目標の1つとして取り組んでみるのも良いのではないでしょうか?
少しイレギュラーな参加方法
WWDCに参加するには、他にもいくつかの方法があります。ここからは、少しイレギュラーな方法をご紹介しましょう。
報道関係者になって招待を受ける
WWDCは初日冒頭の基調講演(キーノート)に報道関係者向けの席が用意されており、事前に招待状を受け取ったメディアはそちらに参加することが出来ます。
このシステムはAppleが主催する他のイベントでも概ね同じなので、招待状が送られてくるようなメディアに所属すれば、WWDCに限らずAppleのイベントを取材できる可能性があるわけです。
ただし、WWDCでメディアが取材できるのは基調講演まで。
その後の各種セッションには入る事ができないので、その点は注意が必要です。
Appleから招待を受ける
WWDCではAppleや出展者以外にも、ゲストスピーカーが講演を行うセッションが用意されています。
ゲストの人選はAppleが行っているので、こちらに選ばれれば、Appleの招待という形でイベントに参加することが可能です。
ちなみに、2017年のWWDCでは、日本人のアプリ開発者 若宮正子さん(当時82歳)がスペシャルゲストとして参加しています。
招待されるには実績だけでなく時の運もあるでしょうが、Appleが思わず招待したくなるような魅力ある人物を目指すというのは、人生の目標として悪くないのではないでしょうか?
WWDCのイベント内容は4種類
1カ所に5,000人以上が集まる人気イベントWWDC。そのイベントの内容は、一体どのようなものなのでしょうか?
今回は、Appleが事前告知しているWWDC19の内容をベースにご紹介しましょう。
基調講演
基調講演は、WWDCの一番最初に行われるイベントで、唯一メディアがリアルタイムで報道できる部分でもあります。
ここ数年の傾向では、新たなバージョンのOSやサービス関連の発表が成されることが多いですが、同時にハードウェアがお披露目される事も少なくありません。
ただし、どれだけ長くてもせいぜい2時間程度なので、メインテーマである各OSの新バージョン以外の話題は、そこまで時間を割いて紹介されないと考えておいた方が良いでしょう。
また、ハードウェアの発表を一切行わないケースもある為、その点でも過度な期待はもたない方が賢明です。
セッション
WWDCのメインイベントが、各種セッション。
これはAppleの各部門の社員から、新しく発表された技術やデザインに関する内容を直接学ぶことが出来るもので、会期中は合計100以上のセッションがみっちりと開催されています。
セッションの内容は後日WWDCアプリで参加者以外も見れるようになるので、気になる方はチェックしておくと良いでしょう。
ハンズオンラボ
ハンズオンラボでは、新たな機能や技術の使い方(プログラムへの組み込み方)を、Appleの社員に直接質問・相談することが出来ます。
その時点で新OSに最も詳しい人から、自分が聞きたい事を聞けるというのは、エンジニアではない私から見てもかなり魅力的です。
スポーツで言えば、世界一の監督から最新の技術を直接学ぶ様なもの。特に仕事でアプリ開発をされている方にとっては、非常にありがたい存在ではないでしょうか?
スペシャルイベント
スペシャルイベントは、主にWWDCの前や後の時間帯に行われる付属イベントです。
その年の最優秀アプリを表彰する「Appleデザインアワード」から、フィットネスやヨガ、果ては有名マラソンランナーと一緒に早朝のサンノゼの街を走る「WWDCマラソン」まで、これでもかと言うほどの充実ぶり。
人によっては、むしろこのスペシャルイベントの方が本番という方もいるかもしれませんね。
私もWWDCに参加できた際は、ぜひスペシャルイベントに参加してみたいです。
Apple公式ライブ中継を見る方法
先にお伝えした通り、WWDCのチケットはプラチナチケットなので、誰でも気軽に参加できるという訳ではありません。
でも、大丈夫。今回のWWDCも他のイベントと同じように、基調講演はApple公式のストリーミング配信が予定されています。
Apple公式のストリーミング配信は2種類
視聴方法はApple公式サイトの特設ライブ配信ページか、iOSのWWDCアプリ経由。
WWDC 2019をライブ中継する特設ページ
iOSのWWDCアプリ
WWDCアプリは無料でダウンロード出来るので、単に視聴するだけなら、iPhoneやiPadからWWDCアプリを使うのがお勧めです。
逆に、公式配信を見ながら他のメディアをチェックしたいという場合は、Mac/PCを使うか複数のiOSデバイスを併用するのが良いでしょう。
WWDC19を日本語で視聴する方法
ちなみに、上記に挙げたApple公式サイト・iOSアプリ経由での視聴は全編英語で行われます。
英語での聞き取りができる方は、ストリーミング配信だけを聞けばOKなのですが、英語の聞き取りが苦手な方は日本語で聞きたいですよね。
そんな方にオススメのサイトをご紹介します。
macwebcaster.com
youtu.be
macwebcaster.com(マックウェブキャスター・ドットコム)は、2001年からApple系の基調講演を同時通訳し、配信しています。
上記の公式サイトによると、Xbox mixerとニコニコ生放送での視聴も可能なので、ご自身の視聴しやすい環境で見てください。
また、同時通訳の視聴手順が記載されているので、WWDC19が始まる前にしっかり確認しておきましょう。
WWDCを楽しむためのオススメ視聴環境
ちなみに私の場合、iPad・iPhone・MacBookを使い、このような体制で役割分担をしています。
iPad
- 公式配信の再生
iPhone
- SNSをチェック
MacBook
- 各メディアのチェック
- 有志の方の日本語訳放送を再生
- 記事の執筆
Macだけでこなせる作業をあえて分担しているのは、ウィンドウ切り替えの操作を極力減らす為。
12inchのディスプレイは、いくつもの作業を同時進行でやろうとすると思いのほか狭いのです。
ここまでやるのは私のようにライター業をされている方くらいでしょうが、複数のデバイスをお持ちの方は、上手く分業させるとストレスなく情報がチェックできて便利ですよ。
セッションの内容は後日アプリで公開
また、WWDCの本題であるセッションの内容も、一部を除き後日WWDCアプリで公開される模様です。
当日のセッションを映した映像付きなので、文字情報より理解しやすいのも嬉しいポイント。
以前は本当に参加者以外知り得なかった部分なので、行きたくても行けなかったという方は、ぜひこちらも活用してみてくださいね。
まとめ
今回は、「WWDCってどんなイベント?〜参加方法やライブビューイングの視聴方法など気になるポイントを解説します〜」と題して、意外と知られていないWWDCというイベントそのものについて解説しました。
今年のWWDCは、現地時間で2019年6月3日(日本時間:2019年6月4日午前2時)から開催!
WWDC19については、当サイトでも発表内容の予測記事をアップしていますので、こちらも合わせてご覧頂くと、イベントをより楽しめるかと思います。
以上、「WWDCってどんなイベント?参加方法やライブビューイングの視聴方法など気になるポイントを解説します。」でした。
WWDC19の内容を大予想
WWDCでどんな内容が発表されるのか、今まで報道されてきた噂話などから予想してみました。WWDC19の予習も兼ねて、こちらの記事もいかがでしょうか。
www.ringo-atsume.com